■造血幹細胞移植(治療方針説明会)

移植治療を行うにあたり、治療前に病院のカンファレンスルームで医師により治療の説明会が行われた。今回が最後の大きな治療。長丁場になるが何としても頑張らなければ。

まず、造血幹細胞とは血球系細胞に分化可能な幹細胞。要は白血球や赤血球、血小板に成り代われる細胞である。また、造血幹細胞移植とは正常な血液を作ることが困難な疾患の患者に対して、ドナーの造血幹細胞を移植して正常な血液を作るようにできる治療のことになる。そして、GVHD(移植片対宿主病)とはドナー由来のTリンパ球が、自身の細胞を他人とみなし攻撃する免疫病となる。移植後100日未満に発生するのを急性GVHD、移植後100日以降に発生するのを慢性GVHDに区別する。

■治療期間
約3ヵ月の入院(予定)

■治療内容
造血幹細胞移植

■治療の流れ
5週間前  :移植前検査
2週間前  :ヒックマンカテーテル挿入、クリーンルーム移動
1週間前  :移植前処置(全身放射線照射、多量抗がん剤投与、サイモグロブリン)
移植    :造血幹細胞移植
2ー4週間 :生着
3ヵ月迄  :急性GVHD
3ヵ月後  :退院、慢性GVHD
3ヵ月以降 :通院、慢性GVHD

Ⅰ.移植前処置
■目的
移植後ドナー様提供の造血幹細胞で血液が作れるように、自身の免疫力を0にする。自身の免疫力が残っていると移植した造血幹細胞を排除しようとしてしまい、移植がうまくいかないため。

■方法
◆全身放射線照射
放射線を全身に照射することでリンパ球の抑制を行う。

◆多量抗がん剤投与
抗がん剤(キロサイド、エンドキサン)を投与し免疫抑制を行う。
1.キロサイド
投与時間  :2時間×2回
主な副作用 :骨髄抑制、シタラビン症候群、中枢神経障害

2.エンドキサン
投与時間  :2時間×2回
主な副作用 :アレルギー、腸閉塞、胃腸出血、間質性肺炎

◆サイモグロブリン
ウサギにヒト胸腺細胞(Tリンパ球)を接種して、ヒトTリンパ球を攻撃する抗体を作らせ、製剤化したものを投与する。そうすることで、自身のTリンパ球を減らし免疫抑制となることに加え移植後はドナーのTリンパ球を減らしGVHD予防ともなる。
投与時間  :12時間×2回
主な副作用 :アレルギー反応、ウイルス感染の助長

Ⅱ.造血幹細胞移植
■方法
採取された造血幹細胞を輸血と同様に点滴投与

Ⅲ.生着
移植後白血球の好中球数が3日連続500以上になる最初の日を生着日となる。

Ⅳ.急性GVHD
症状は主に以下の3つ
・皮膚(左右対称の赤み、皮膚の盛り上がり)
・消化管(胃、小腸、大腸の異常。吐き気・水下痢等)
・肝臓(黄疸)

Ⅴ.その他
・移植中期には免疫力低下により感染症が生じる。(サイトメガロウイルス、ヘルペスウイルス等)また、肺炎、脳炎のリスクもあり。
・退院前には一度試験外泊を行い自宅で生活可能か確認を行う。前提は点滴が外れている事。
・退院は約3ヵ月が平均であるが、場合によって4,50日から1年以上かかる事もある。
・退院後の通院は当面は1,2週間に1回の通院となる。

やっとここまでこれた。これからの3ヵ月。つらい治療になるかもしれないが何とかうまく乗り切って今度こそ健康な体に戻りたい。