■造血幹細胞移植(ヒックマンカテーテル)

ヒックマンカテーテルとは、長期間にわたり点滴や輸血・採血が必要な場合に挿入するカテーテルです。カテーテルの挿入は手術で行います。挿入方法は、右鎖骨部分から胸にかけて広範囲に消毒後、局所麻酔をします。次に左鎖骨部を穿刺後、胸に小さく切開し、切開部からカテーテルを挿入していきます。カテーテルは胸から皮下を通って中心静脈に入り留置されます。カテーテルは抜けないように皮膚に縫合し固定します。最終的には胸から2本の管が出る形になります。

そういったわけで、移植に向けてヒックマンカテーテル挿入手術を受けることになる。当日は、手術着に着替え手術室に呼ばれる。手術室は一般の病院エレベーターでは止まらない階にあり。病院関係者専用のエレベーターで担当看護師と向かった。手術室の前についたが異様な雰囲気に包まれている。少し緊張してきた。搬送用のベッドと紺色の服を着た担当者が名前と生年月日、手術内容を聞かれ搬送用ベッドに横になる。ここからはドラマの世界と同じだろうか。私は搬送用ベッドで天井を見ながら手術室まで運ばれていく。

手術室には担当医、研修医、そして主治医が手術用の格好で待っていた。ここの病院では、主治医は名前だけでほぼ治療には顔を出さなかったのだが、今回の手術はおこなうらしい。このような大きな治療にはさすがに主治医が出てくるのだろう。あとは、女性の助手がついていた。

搬送用ベッドから手術台に移され手術の準備がはじまる。胸をはだけさせられ、顔には布がかぶさり視界は0の状態。ここからは先生の声のみが聞こえる状態だ。心電図が取り付けられ、主治医が「でははじめていきますね。」の声が聞こえ手術が始まった。

手術自体は担当医が行っており主治医が見守るかたちで手術をしているようだ。担当医が「まず、消毒していきますねー。」と胸から肩にかけて消毒される。消毒液はひんやり冷たい。そして次に痛い、痛い麻酔注射だ。担当医「では麻酔します。ちくっとしますね。と言って麻酔注射が入る。」ここで主治医が担当医に麻酔を行う場所やら量をレクチャーしている。ここで「今回の手術は担当医の練習の場でもあるのね・・」と察してしまった。
麻酔注射は痛かった。広範囲への麻酔のため10回以上は針を刺されたと思う。特に鎖骨への麻酔は痛い痛い・・

次に胸の切開が入った。主治医「もっと、メスで撫でるように切っていいよ。」担当医「はい。」あー切られてる切られてる。局所麻酔だと意識があって手術中の先生方の声が聞こえるので、今何してんだろうか。と創造にかられる。途中で「うーん。」とか「あっ。」とかの声が聞こえると。「大丈夫かー」と不安になってしまう。

切開が終わったのか、次に切開したところからカテーテルを通していく。ここで担当医がカテーテルを通すのだがうまく入らないみたいだ。「あと少しなんですけど、、」胸を押され続けるのだがあと少しが進まないみたいだ、5分ぐらいは格闘しただろうか、主治医が見かねて、ぐいっ、ぐいっとして「ああ、通った、通った」という声が聞こえた。その後、カテーテルに何か通してカテーテルの管を大きくする作業というのがあり。それがまた痛かった。助手の方が「がんばって、がんばって」とはげましてくれた。

ここで、主治医が「山は越えましたよ。」と手術の終盤にさしかかったことを教えてくれる。あとは、何かしら処置を施し、傷口を縫合しあと処置を加えていく。そして主治医が「お疲れ様でした。無事に処置が終わりましたと告げてくれた。」私は「無事に下山できてよかったです。」と返した。

手術時間は、 icon-clock-o 1時間30分程度。

この手術室は音楽を流すことができるということで助手さんが「最近の音楽を流しますね。」とEXILEの曲を流してくれた。ただ私はEXILEは全然聞かないので、癒しにはならなかった。。また、助手さんに「この手術室の施設は最先端機器が多数あり、某首相が見学されたんですよ。今日はこの手術室を使えるのはとてもラッキーですよ。」とも言われたが、視界0の私にとっては、ありがたみが・・なかった。

搬送用ベッドに移し替えられ、病室までベッドで連れて帰られる。病室には妻が心配そうに待ってくれていた。