■地固め療法1回目(担当医2)

ヒーローは近くにいる。

私の担当医は、私よりも少し若い。治療方針の決定を行い、カテーテル等の治療もこなし、休日も出社し、患者さんにはやさしく、とてもよく仕事をしている。また、大学病院の仕事だけでは給料が厳しいため、他の病院のアルバイトもやっているようだ。

私が「お医者さんの仕事って、大変ですねー。」と声をかけたとき、『好きでやっているので。大丈夫ですよー。』とかえってきた。

いつも患者思いで、回診時も体調面だけでなくメンタル面についてもケアしてくれる。その担当医と、ある日の夕方の回診時だった。私と妻と担当医で今後の治療の不安や移植についての不安を話していたときだった。担当医がさらっと言ったのである・・

担当医「私も移植しているんですよ。」
私と妻『・・・・。』私と妻は顔を見合わせて・・『えーーーー!!!』

なんと、担当医も過去に白血病を患い移植をしていたのである。話を聞くと、21歳の時に発病・闘病し2年の治療を経て骨髄移植。大変なGVHDを経験して完治。その後、医師を目指し、今に至る。

辛い闘病を乗り越え、そして医師の立場に立って同じような患者を救う。偉大なヒーローだ。
今の私はとても不安で辛いと感じているのだが、担当医が当時経験した辛さは計り知れないと感じた。そこから医師を目指し勉強し、実際の医師として活躍している担当医に尊敬の念を抱いた。

『今は大変ですけど、乗りこえれば、人生かわりますから。』担当医が回診の最後に言い残して去って行った。とても重い言葉で私の中に響いた。そして、この長い治療を頑張ろうと今一度思った。