■地固め療法2回目(最終同意)

先の見えない闘病生活。出口が見えた日だった。

移植コーディネーターさんが病室にニコニコ顔でやってきた。そして私にこう言った。
『今日は嬉しいお知らせあります。』
『ドナーさんですが、最終同意してくださいましたよ。』
『とても早く対応してくれましたよ。』

私はいろんな感情が入りみだり、何ともいえない表情になる。うれしのか、泣きたいのか、ホッとしたのか。「ほんとですか、ああっ、よかったです。ありがとうございます。」とコーディネータさんに返す。ただ、ありがとうございます。は最終同意してくださったドナーさんに対して出た言葉である。ただ実感が持てなくて気持ちはふわふわした状態だった。

これで、移植できることが決まった。私の病状は、抗がん剤治療を行っても再発リスクが高く、今後再発をしないようにするには移植が必須なのだ。そのためにはドナーさんから造血幹細胞を提供、要は移植してもらう必要があり、ドナーさんの力を借りないと治せない体になってしまっているのだ。今回、ドナーさんが最終同意いただいたことによって私の治療が先にすすめる。そして、完治に向けて近づくことができる。ドナーさんは言わば私にとっての命の恩人なのだ。

この同じ空の下に、こんな私のために移植に同意してくださった方がいる。そんな高尚な人間が世の中にはいるのだ。ドナーさんに感謝です。感謝しても感謝しつくせないほど感謝です。

移植が決まったことにより、医者から今後の治療方針について告げられた。『これから、移植に向けた治療に変更します。はじめは、移植前の各検査を行っていきます。その前に一時退院してリフレッシュしてください。』との事。

これから移植治療に突入していく。ついに、ここまでこれた。最後の山だ。不安と希望を胸に健康な体を取り戻すために頑張ろうと思った。